Lying Devils

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【レビュー】DmCを求める人間が見たHELLBLADE【Hellblade Senua's Sacrifice】

前書き

 精神病という点について少し語っているので、センシティブな内容を含みます。    気分を害する表現はなるべく避けていますが、もし不快な表現がございましたらブラウザバックをお願いします。


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目次


本題

 私が今まで遊んできたニンセオ作品は3つ。DmC、ヘブンリー、エンスレイブド。どれも共通する点と言えば、「尻切れトンボ感」がある作品であるという事。また、がっつり戦闘多めのアクション(ハクスラ系)であるという事。いい作品でありながら、なんとなく残念な部分が見え、手放しに褒められる様な作品ではない、と個人的には思うところがある。

 ヘルブレードは、2017年にニンセオが送り出した完全新作である。今まではカプコンやらなんやらの手を借りていたものの、今作はパブリッシャーに堂々とニンセオの文字が書かれている。頑張ったね。

 ヘル、で、ブレード。個人的にはヘブンリーの続編か何かなのか?(主人公が青染だしカイとなんか関係ある?)みたいに思っていたが、何となくアレとは雰囲気が違う、気がする。

 Steamの概要にはこの様な説明が書かれている。

『ヘブンリーソード』、『Enslaved: Odyssey to the West』、『ディーエムシー デビルメイクライ』の製作者が贈る、狂気と神話に彩られた戦士の物語。 ヴァイキングの時代を舞台に、死んだ恋人の霊を救うため、絶望に苛まれるケルト人の女戦士がヴァイキングの冥府ヘルに向かう幻のクエストに挑む。

 そして、紹介ムービーを見た私は思った。

 あっこれホラーか!

 ずいぶん前から買っていて、いずれやろうやろうと思っていた作品ではありましたが、つい最近クリアできました。

 というのも、後で説明する事ではあるが要所要所のホラー成分にビビりまくったのと謎解きがクリアできないという二重苦に陥ってしまいやる気がゴリゴリそがれた為にあります。

 とりあえず頑張ってクリアはしたものの、正直に言えば、あまり話の内容を理解できたとは思っていません。

 従って、本レビューではストーリーの内容についての考察はあまりしない事にします。あくまで、DmCの残滓を追い求めた狂人が、このゲームの中に僅かにある悪魔殺しのかけらを集めるだけの記事です。

ストーリー

 オイ、って言われそうですがちょっと待ってください。おめぇストーリー語らんつったやろって言わんといてください。

 一応ストーリーから先に離さないとやったことがない人には何がなんやらさっぱりわからん!ってなるかもしれないので許してください。      本作品は北欧神話をベースとして話が作られています。従って、劇中に出てくる単語や表現にも、それの影響が多々あります。

 具体的には、主人公・セヌアが手に入れる武器の名前がグラムだったり、敵にスルト・ヘルと言った、RPG大好き民には何度も見たことがある名前が出てきます。ステージのあちこちにはルーン文字が浮かび出るよくわからん祭壇(いわゆるやりこみ要素)があり、そこからは北欧神話の概要について教えてくれます。

 逆に言うと、北欧神話を知らん!って人にはあんまりよくわからん話である事は確かです。

 さらに言えば、セヌアは精神病を患っており、彼女の見ている世界が明らかに現実ではないものである時があります。それが明らかに幻覚であると言える時もありますし、よくわかんねって時もあります。ステージを歩いていても幻聴が周囲から響いてくるしぶっちゃけ集中なんてできません。話に集中できません(恐怖)。

 現実的ではない様な、でも明らかに現実じみた世界の中で、幻聴と幻覚に耐えながら、失った彼氏を救いに行こうとする少女の物語です。

 前述の通り、話の内容は大雑把にしか理解できていません。多分、こうなんだろうなっていう感じ。

 ただそれでも、精神病患者の方々がどの様な不安を抱き、どの様な悪意に晒される事があるのか、といった事が示されている事はよく判りました。考察のし甲斐があるゲームだと思います。

 ……ぶっちゃけニンセオの翻訳のセンスが無(

システム

 大雑把な言い方になりますが、このゲームは所謂アドベンチャーゲームです。アドベンチャーゲームに、フレーバーとして戦闘が収まっている様な感じです。それ以外は探索と謎解きがメインです。完全に戦闘・非戦闘が分かれています。

 なので、戦闘を期待して買った私としては非常に大変でした。

 セヌアは異常な集中力を持っており、ゲーム内では「フォーカス」と呼ばれる能力を使って、ステージに隠されたシンボルを探して道を開いていきます。ステージの柱の陰が偶然そういう形になっていたり、そうはならんやろみたいなところでシンボル判定をされることがあって、かなり苦戦する要素でした。

 後半になると、ポリゴンの乱れみたいな箇所に対して、正しい位置からフォーカスをする事で壊れた橋が正しい橋になったり、なかったはずの道を作ったりします。いわゆる幻覚描写なんですかね?

 他にも通るとステージの一部に変化があるアーチとか、ありとあらゆる幻覚的な要素を用いて謎解きをしていく為、非常に疲れを感じました。この際にも幻聴は聞こえてくるので、ヒントにもなるのですが、同時に精神をやる諸刃のシステムでした。

 戦闘については、硬派ではありますがかなり面白いと感じました。

 まず、ゲージが一切ありません。なので、戦闘によって受けたダメージは何となくしか判りません。大丈夫だ、問題ないと違って服も脱げません。

 しかし、やられた場合にはレバガチャをする事によって復活する事ができます。何度もやっていると死に、少し前の場所からやり直しになります。非戦闘中に逃げゲーになる事がありますが、その場合に死んでも同様にちょっと巻き戻って復活します。ゲームオーバーはありません。

 弱攻撃・強攻撃・格闘を組み合わせる攻撃方法で、何となくヘブンリーみを感じるところはあります。組み合わせて3~5回攻撃になるので、剣を使うところからもDmCを感じました。ダッシュと組み合わせて突撃攻撃にすることもでき、割と強いので多用してました。

 また防御方法として回避・ガードがあります。

 回避はほぼノーリスクで発動でき、連続使用回数制限もない事から雑に打っておけば多少はガバに対応できる感じでした。

 またガードはジャスガにより相手の攻撃を弾いた上で一時的にスタンし、以下で説明をするゲージを上昇させる(様な気がする)という効果があるので、積極的に狙いたいよい塩梅に仕上がっていました。DmCでのパリィとほぼ同じ感覚で撃てた為、ここにDmCみも感じています。

 ちなみに、相手の攻撃時には幻聴があらかじめ教えてくれるので、それに対してガードをすると割と攻撃を吸ってくれます。虚空からの声っぽくてやってる最中はずっと虚空って言ってました。

 戦闘中ではフォーカスの代わりに、QS集中力を高めて周囲が遅くなるという能力を使うことができます。これがいわゆるデビルトリガーみたいなもので、とりあえず使っておけば負けないだろうという感じ。一定時間たつと消えるので、攻撃・ジャスガを利用してゲージを貯めて殴る、という感じになります。

 個人的にはダークソウルとかが好きな人にはちょっとコンボ要素多くなったな、ぐらいで楽しめるのではないでしょうか。私は結構慣れるまで大変でした。

 戦闘は特にDmCみを感じる部分が多かったのですが、だからこそ違うな、って感じる部分が多かったです。

表現

 ニンセオ特有のパステルカラーの世界。始めた時点では今作はないのかな、と思ったのですが、ストーリーの途中でヘルヘイムにセヌアが行った時にそれらしいのがありました。

 その時ばっかりはちょっと歓喜の声が出ました。まあ、すぐに恐怖で押しとどまったのですが。

 また今まで何度も言いましたが、本作は幻聴・幻覚を巧みに使っており、その為に没入感が異常でした。

 ステージの至る所に現れる目や、フォーカスする為のシンボルが辺りに漂う空間。

 全方向から聞こえてくる女性(セヌア)の声は支離滅裂な言葉をはなったり、何度も同じセリフを言ったり、初めのうちは笑っていたのですが途中かなりしんどくなっていました。

 しかしその声に戦闘中は救われているので何とも言えない気分になります。それが目的なんでしょうかね。

 敵のデザインは西洋の悪魔と北欧の戦士を合わせたようなザコ敵と、炎を纏う巨人や、明らかに穢れを持つ獣など、不快感や恐怖を与える敵が多くいました。DbDとかに入ってもいいんじゃないかってぐらいには怖いデザインでした。

良かったところ

 精神病というとても難しい内容に対して、茶化したりなどが一切なく、真摯に向き合っていると感じた。

 私は、一応健常者だと思ってはいるのですが、このゲームを通して健常者だから、精神病患者だから、という区分に対しての是非を少し思うところがありました。

 例えばいわゆる統合失調症の方々は、自分の幻想・妄想と現実がごっちゃになってしまい、支離滅裂な言動を発してしまうという場合があります。これに関しては疑いようのない事実ですし、実際お医者様もそういった方々が何とかカムバックできるように頑張っている、らしいです。

 しかし、それが果たして精神病患者だけのものかといわれれば、そうではないでしょう。事実を曲解し、自分に都合がいいように考えるのは、健常者でも同じです。

 セヌアは、劇中では、それによって多大なる被害を受けています。父親の言葉、周囲の偏見、そういったものによって、彼女の不安定な精神は余計に変形していき、彼女自身が安心できる空間を妄想してしまった。

 父親の言葉は、嘘でした。周囲の偏見は、恐れから来たものでした。

 劇中に出てくる人々は、弱く、安心を求めて、どこかによりどころを作りました。それが神であったり、神話であったり、呪いであったり、生贄です。

 そうして生み出された不安の中を、セヌアは一人で立ち向かっていった。

 色々と考えさせられるものがありました。

 ゲームとしては、わりと起動が早いタイプのゲームなのがとてもよかったです。余計なロゴがないだけでとても満足でした。

 グラフィックも綺麗で、本当に生きている質感がありました。水の描写も良く、UEをしゃぶりつくしているだけあると思いました。

 戦闘難易度を途中ですぐに変えられるのも、戦闘苦手な人にはとても良かったと思います。

悪かったところ

 謎解きが、判らん。

 特に、どこにフォーカスすればいいのか、といった事が全く判りませんでした。

 シンボルがふわふわ浮いているから、多分この辺りなんだろうな、で探しても全然見当たらないという事が頻発し、最終的に攻略サイトの手を借りました。

 他にも真っ暗な空間を歩くところがあるのですが、これが非常にストレスがたまりました。

 ストーリーの表現上仕方がないのでしょうが、それがゲームとして面白いかは別だと思います。仕方がないのでその区間ではガンマを上げてプレイをしていました。

 また上で取り上げた戦闘ですが、正直これ要る?というのが最終的な感想です。

 やっている最中は面白かったのですが、終盤になると敵の数が偉い事になっていきました。そしてこのゲームはどうもオートロックがあるらしく、画面中央の敵に対して攻撃が優先されていきます。

 これが集団の敵に対して働くと、とんでもないことになります。具体的には、右で攻撃している奴の攻撃を止めるために振った剣が虚空を斬ります。そして被弾します。

 これを抑える為には定期的なガードと視点移動が必要になりますが、そんな余裕があるはずもなく。Final battleではこの仕様が非常に鬱陶しく感じました。

 また、セーブデータが1つしかないのも不親切だと思いました。

 見返して、これはどういう意味だったんだろうというのを考えるタイプのゲームだと思うので、適宜別にセーブをさせてほしいところはありました。

 あと、どうも死にすぎるとセーブデータ削除がされるらしいのもちょっと不親切かなと思いました。アンテみたいで面白いとは思うんですけどね。

結論

 面白いゲームでした。また挑戦的なゲームでした。

 手放しで誰かにお勧めするのは難しいし、良いゲームというには若干微妙なところもあります。

 しかし、だからといってこのゲームがおもしろくないはずがないのです。

 このゲームは、新しい価値観を与えてくれる可能性を持っています。このゲームを通して、学べる事は幾つもあるでしょう。

 それこそ健常者が、精神病が、といった事も含めて、人の思考や、人の恐れからくる行動について。真摯に人に向き合った事で見えてくる何かを掴めるはずだと私は思います。

 2週目プレイはちょっとおなかいっぱいなのでしばらくは良いかなって感じですが、やりごたえはありました。

 ちなみに私は非VR版をやったのですが、これVRでやったら精神崩壊しそうなんですよね……どうなんでしょうか?

 あ、ちなみにDmC要素は全体としては感じませんでした。要素はあるけど、別に、という感じですね。

 やっぱり、同じ人が作った作品だからといって、目の前のものから背けて別の事を考えるのはいけないことだと思いました。

 ゲームをやるなら、そのゲームだけで判断するのが正しい遊び方だと思います。

 今回はここまでです。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。  ノシ